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2つのハートフル

部屋に備え付けられた照明灯はただひとつのため薄暗く、時折滴る水音以外は静寂が支配していた。

その静寂を破ったのは鉄格子が軋みを上げて開く音。

鉄格子の向こうから現れた男と、部屋で鎖に繋がれた男。

運営調査室とも呼ばれる、所在さえ知る者は少ない一室で2人は相対した。





「ふむ・・・、引退しないのが不思議なほどだな・・・。」


またログイン鯖がダウ・・・・・・・・・・・・バイトは・・・・・・・・・ンプレ急げ・・・・・・・・・


「聞こえるか?フリ鯖の廃人よ。」


部屋に現れた男の声に、虜囚であったもう一人の男は顔を上げた。

身はやつれても、いまだその瞳は光を失ってはいない。


「・・・サービスが終了するのも時間の問題だな。」


「わが運営にとってECOの正常性など些細な問題にすぎん。」

「それを知らぬわけでもあるまい?」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」


ダメだ、正社員・・・・・・・・・電話連絡するんだ・・・

我々だけでは・・・・・・・・・ンプレ返答・・・・・・・・・んどくさ・・・・・・


「・・・日増しに高まるユーザの不満を抑え切れないようだな・・・?」


「所詮、ECO民は我々と違い劣等民族だからな。」

「彼らには少々荷が重すぎたということだ。」


「重課金でユーザを縛り付ける、そうした運営のやり方に問題がある――」

「そうは思わないのか?」


「縛り付けた覚えなどないな。彼らは課金漬けにされることを望んだのだ。」


「望んだだと?」


「全鯖を見渡してみろ。」

「どれだけのユーザが無課金で物事を成し遂げるというのだ?」

「非課金要素で金策し、強化失敗時のロストリスクを背負い、ふえーる無しでカンストを目指す。」

「そんなヤツがどれだけECO内にいるというのだ?」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」


「貴公らの放送局デモを思い出してみよ。」

「貴公らがわざわざ  鯖のドミ界まで赴いたとき、多くのフレはどうしていた?」

「自分は本鯖でクジを引きながら、露店チェックをしていたのではないのか?」


「彼らは自分のむしゅめを愛でるだけで精一杯だったのだ・・・。」


「いや、違う。癌畜でいる方が楽なのだ。」

「癌畜だからクジを引くのではない。クジを引きたいからこそ、癌畜の立場に身を置く。」

「彼らは望んで“癌畜”になるのだよ。」


「ばかな!ユーザには無課金でも遊ぶ権利がある。」

「ハートフルがあるのだ!」


「わからぬか!」

「本当のハートフルとは誰かに与えてもらうものではない。自分で勝ち取るものだ。」

「しかし、ユーザは自分以外の誰かにそれを求める。」

「自分ではクエ消化もしないくせに権利だけは主張する。」

「野良PT募集を今か、今かと待っているくせに、自分がその募集主になろうとはしない。」


「ECO民はそこまで怠惰なユーザじゃない。ただ、我々ほどIN時間が取れないだけだ。」


「廃人よ、貴公は純粋すぎる。」

「ECO民に自分の夢を求めてはならない。運営は与えるだけでよい。」


「何を与えるというのだ?」


「搾取されるという特権をだッ!」


「ばかなことを!」


「ユーザは生まれながらにして深い業を背負った生き物だ。」

「自分のむしゅめを着飾るために平気でぼったコメを出す・・・。」

「より効率的な狩りを望み、そのためなら不遇職を蹴ることだっていとわない。」

「しかし、そうした者でも罪悪感を感じることはできる。」

「彼らは思う・・・、これは自分のせいじゃない。ゲームバランスのせいだ、と。」

「ならば、我々が神スキルをゴミ化してやろうではないか。職が次々に栄枯盛衰するゲームにしてやろう。」

「よそものしかできぬ愚民にはふさわしい役目を与えてやろう。すべては我々が管理するのだ!」


「無課金者を虐げることが管理なのか!」


「虐げているのではない。」

「我々は病に冒されたこのゲームからその病因を取り除こうとしているにすぎん。」

「課金要素に影響を及ぼす前に悪質な無料厨は排除せねばならんのだ!」


「身体に3大欲が備わっているように、非課金組にも課金しようかなという心変わりはある!」


「それを待つというのか!?」

「フフフ・・・、貴公はECO民というユーザを信用しすぎている。」

「ユーザはより効率狩りできる職へ、より俺TUEEEできる職へ身を寄せる。」

「そのためなら大事なフレを裏切ることもできる――」

「さらたん!」


現れたのはかつて皆がさらたんと呼び、親しんでいた少女であった。

しかしかつてと違い、職服ではなくクジの上位品を身にまとい、背中にはブーパパを背負っていた・・・。


「さらたん・・・!何故、きみがここに・・・?」


「紹介しよう、廃人殿。」

「彼女こそ廃課金要素を全て満たし、かつ3次職でも最高の優遇職となった、フォースマスター様だ!!」


「!!」


「貴公の指摘したとおりECOはもうおしまいだ。鯖も、ゲームバランスもな。」

「しかし、廃課金者が俺TUEEEを望む限りECO民は運営の下僕となろう。」


「さらたん・・・、きみは・・・、いったい?」


「私はわてたんを信じていたわ。たった1人のフレだもの、当然よね。」

「でも、わてたんは私のフレじゃなかった。」

「そして、私にソロモードを強制した。経験値がもらえないのなら、いっそ――。」


「さらたん!」


そのまますぐに、かつてさらたんと呼ばれた少女は部屋を後にした。


「私の茄子を削った男と別れるのは惜しいが、これ以上、敗北者を痛めつけるつもりはないのでね。」

「失礼させてもらうよ。」


「ま、待て!!」


「さらばだ、フリージアの廃人よ。」





鉄格子は閉ざされ、再び部屋は静寂に包まれた。




2つのハートフル_b0199155_2242320.jpg


思いつきだから話のつじつまがおかしいかも^p^
by eco_panty | 2011-01-13 22:28 | 賢者モード


アーッ!!


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